兵庫県西宮市の老舗和菓子店 「観光堂」。
看板商品である「おかき巻き」は、地元の人々だけでなく、県外から訪れるファンにも愛されていました。
しかし、そんな観光堂は、複数の店舗を閉店。
現在は「甲子園本店」と「広田店」のみが営業している状況となっています。
この情報を知り、
何が原因で閉店してしまったの？
と疑問を感じている人は多いはず。
そこで当記事では、観光堂の閉店理由について調査し、どんな背景があるのかを深堀してみました！
観光堂の閉店理由は「生産体制の遅れ」
観光堂が閉店した理由のひとつとして、「生産体制の遅れ」が挙げられています。
地元メディアの「西宮つーしん」によると、
という内容を記載していました。
昨今の臨時休業の理由についてお店の方に伺ったところ「生産体制が追い付いていないため」とのこと。
出典元：西宮つーしん
ただ、ここで新しく疑問に感じるのは、
ということ。
次の項目では、生産体制に遅れが生じている理由について、考察していきます。
なぜ観光堂に「生産体制の遅れ」が生じているのか？
和菓子業界では、製造プロセスが多くの手作業に依存しています。
そのため、以下のような様々な問題が重なったことで、生産が追いつかなくなったのでは？と考えます。
- 職人不足と和菓子業界の人手不足
- 原材料の仕入れ困難とコスト高騰
- 設備の老朽化と生産効率の低下
職人不足と和菓子業界の人手不足
観光堂のような老舗和菓子店は 、職人の手作業が重要です。
特に「おかき巻き」のような繊細な和菓子は、機械では再現できない技術が必要となります。
そのため、和菓子職人の数が年々減少し、多くの老舗店が人手不足に悩まされている可能性があります。
職人の高齢化
和菓子職人は、長年の経験で技を磨き上げていきます。
ですが、高齢の職人が引退すると、その技術が失われてしまうため、大きな課題となっています。
そして、若手職人が育っていない場合、伝統の味を維持することが難しくなるのです。
若者の和菓子業界離れ
和菓子職人になるには 長期間の修行が必要です。
しかし、厳しい環境の中で技術を学ぶことを敬遠する若者も多いのが現状です。
また、洋菓子やカフェ業界の人気が高まる中、
- 将来性
- 働きやすさ
などを重視する若い世代が、和菓子職人を目指さなくなっていることも影響しているかもしれません
アルバイトやパートの確保が難しい
最近の人手不足の影響で、
- アルバイト
- パートスタッフ
などの人材確保も難しくなっている可能性があります。
特に和菓子店では、
- 朝早くからの仕込み
- 細かい作業が必要な製造工程
- 熟練が必要な作業が多い
といった特性があるため、短期間で働きたい人が定着しにくいという課題があります。
原材料の仕入れ困難とコスト高騰
和菓子作りには、質の高い原材料が欠かせません。
しかし、近年では原材料の仕入れが難しくなり、コストも上昇していることが、和菓子業界全体の大きな課題になっています。
輸送コストの増加で、仕入れ価格が高騰
近年では、「物流費」や「ガソリン価格」の高騰 により、原材料の仕入れコストが上昇しています。
その結果、
- 輸送コストが増加 → 原材料の価格が上がる → 経営負担が増す
- 小規模店ではコスト増を吸収しにくく、製造量を抑えざるを得ない
といったことが発生し、結果として、生産体制に影響を与えていた可能性はあります。
材料が手に入らなければ、生産スケジュールが崩れる
和菓子は 1つでも材料が欠けると作れないという特性があります。
特に観光堂の「おかき巻き」は、決められたレシピ・品質を守ることが重要なため、代用品を使うこともできません。
その結果、どうなるかというと、
- 必要な材料が届かないと、生産ラインが止まる
- →生産が遅れると、店頭に並ぶ商品も減る
- →売上が落ちると、店舗の維持が難しくなる
といった流れで、閉店せざるを得なかった可能性もあります。
設備の老朽化と生産効率の低下
老舗の和菓子店では、長年にわたって受け継がれてきた製造方法を大切しています。
ただ、その一方で、昔ながらの設備を使い続けていることが多くあります。
しかし、設備の老朽化が進むことで、生産効率が低下。
最終的に、お店の経営に影響を与えてしまった可能性もあります。
古い機械は修理が必要で、生産がストップしやすい
和菓子作りでは、生地をこねる機械や焼き上げる機械など、さまざまな製造設備が使われています。
しかし、長年使い続けた機械は、故障しやすくなるため、以下の問題が発生していたかもしれません。
- 修理の頻度が増え、メンテナンスが必要になる
- 部品が手に入りにくく、修理に時間がかかる
- 生産ラインが一時的に止まり、納品が遅れる
新しい設備を導入したくても、莫大なコストがかかる
老朽化した設備を更新するには、新しい機械を導入する必要があります。
しかし、小規模な和菓子店では、新設備の導入にかかるコストが非常に高額になります。
そのため、
設備を更新したいけど、費用的に難しい…
というジレンマに陥っている可能性もあります。
観光堂の閉店理由に関するまとめ
今回は、老舗和菓子店 「観光堂」の閉店理由について、どのような背景があるのかを調査してみました。
観光堂の閉店理由として、「生産体制の遅れ」 が大きく影響していたと考えられます。
そして、その背景には、以下の3つの要因が関係している可能性があります。
- 職人不足と人手不足
- 原材料の仕入れ困難とコスト高騰
- 設備の老朽化と生産効率の低下
こうした問題が重なり、安定した生産ができず、一部店舗の閉店につながったのでは？と考えます。